産業医として、対医師の長時間労働者面接をすることになったらどうする?

皆さんこんにちは&あけましておめでとうございます。

女子大生になって初の冬休みで、毎日だらだらTwitter三昧のカステラ@Rainha_Castellaです。だらだらしてるけど、辛うじて年越しうどんは作った! クリスマスに焼いたダックで鴨うどんです。ネギ購入し忘れたので、鴨南蛮にはならなかったけどなかなか贅沢でまいうーな年越しうどんになりました。 

さて、2019年年末の勤務医の皆さんを震撼させる(?)ニュースと言えば、コレ。

勤務医の労働時間、兼業先も通算して上限規制へ – 厚労省方針

そして、産業医を震撼させる(?)箇所はココ。

月の時間外労働が100時間に達すると見込まれる勤務医の健康を確保するため、医療機関には、産業医らの面接指導を医師にあらかじめ受けさせるなどの対応が求められる。また、時間外労働の上限が年1,860時間に緩和される医師の勤務は1回当たり28時間に制限され、次の勤務が始まるまでに9時間のインターバル(休息)を確保しなくてはならない。

出典:Yahoo! Japan ニュース、勤務医の労働時間、兼業先も通算して上限規制へ – 厚労省方針

女王様
溢れ出る違うそうじゃない感

 

やりたくねぇ! ハイパー病院の産業医

言葉遣い悪くて申し訳ない、しかし、これだけははっきりさせたい。産業医職ラブ❤️のワタクシがどおおおおおおおおおおおおおしてもやりたくないのがハイパー病院の産業医。

そして、その中でも、最もやりたくないのが、対医師の長時間労働者面接。考えただけでうんざりです。だってアレだよ? ハイパー病院の医師なんて、イケイケどんどんだよ? 手術後の呼び出しに直ぐに応じられない医師は、執刀してはいけない! とか本気で思ってるんだよ? ソファで寝る元気があるんなら一人でも多くの患者さんを救うため勉強しろ! とか本気で思ってるんだよ?

その職場の産業医でなければ、(本人がやってる分には)生暖かい目で見守ればいいんだけど、その職場の産業医だと、こういう人たちと面接しなくちゃいけないわけ。こういう人たちに面接するのって、お互いにとって超時間の無駄なのでやりたくないんですよ。勤務制限したら/されたら、本人もそこの上司も嫌だろうし。

なお、申し遅れましたが、ワタクシ、2019年6月に甲状腺全摘術をうけまして。一患者として言っとくけど、私が手術してもらいたいのは寝不足じゃない医師だし、私が術後に急変したときに駆けつけて欲しいのはその日執刀した医師じゃなくてちゃんと引継ぎ受けた寝不足じゃない医師だからっ💢

あのね、私も甲状腺全摘までに2年ほど待ったよ。いいんですよ、待たせて。患者が待てる状態なら。その代わり、ちゃんと寝てちゃんと遊んで。フレッシュでクリアな頭で手術して欲しいの。

話を戻します。そんなハイパー病院で、対医師に勤務制限だしてごらんなさい、もうね、浮かんできたら魔女、沈んだら魔女じゃない扱いよ?(意味不明) そもそもハイパー病院なんて、勤務制限された医師本人が「これだから産業医は💢、臨床のこと何もわかってない!」って怒り狂う時空の歪んだ場所だもん。で、雇用主も「本人は、もっと働きたい勉強したいって言ってるお?」とか馬鹿なの死ぬの発言しちゃうそんな場所。

大事なことなので、もう一度言いますが、そんな場所で産業医なんて、絶対にやりたくねぇ。

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ハイパー病院の産業医業務(面接)から逃げ遅れたらどうする?

ハイパー病院で産業医を押し付けられそうになったら?

私なら外部に委託するのが吉よ❤️ってアドバイスだけ残して、全力で逃げます。「見つかるまでやってよと」か言われても絶対にやんない。どーしても嫌だもん。

女王様
でも、逃げるの下手な人にかぎって、逃げるの下手だからこそ押し付けられるんだよね。

ハイパー病院産業医業務から逃げ遅れた場合の対処1:自己保身第一で!

産業医業務(面接)から逃げ遅れた場合、最も重要なことは、不幸な事故や過労死が起こったときに、自己保身できることです。逆説的ですが、自己保身できるような対応をすることが結局、長時間労働者を守ることにもつながります。

つまり、産業医になってしまったのなら当該病院の「対象者の健康を守る」ことを、杓子定規にガイドライン通りに融通なぞ効かせず全力で行い、「病院側と勤務医にしっかり休ませる/休むよう指導を行い」「休ませるための指導をきっちりやった」という証拠も残しましょう。病院側が「配慮しているフリをしている」アリバイになるのではなくて、「勤務医が確かに過重労働している」「それに対して休む措置をとった」アリバイを残すのです。

また、万一、対象者が疲労困憊のあまり医療事故の原因を作ってしまったり、過労死してしまったときに、対象者や対象者の家族が「疲労困憊が原因である」と主張するための証拠作りに協力できる程度の面接力は持ちたいものです。もちろん、そんなことが起こらないために対応してるわけですが、勤務制限もせずに/させずに、面接「だけ」で、疲労が回復し、過労死が予防できると本気で思ってる人がいたらアフォですよ?

いいですか? 月の時間外労働が100時間に達すると見込まれる勤務医が面接を受け、通常通り業務可能とアナタが判断して、その労働者(勤務医)が過労死した場合、責任の一端は面接した産業医にもかかってきます(頼み込まれて無理やり産業医業務やった場合でも)。もちろん、最も責任を負うべきは、雇い主である病院ですが。

何より、自分が面接した人が過労死したら、後味悪すぎて一生引きずりそうでしょう? 全力で自己保身できるよう、全力で対象者の健康について配慮してください。たぶん、対象者本人にも事業主にも迷惑がられ嫌われますが、がんばれ(私はそれが嫌だから全力で逃げる)。

ハイパー病院産業医業務から逃げ遅れた場合の対処2:労働状態について詳細に把握する

「月の時間外労働が100時間に達すると見込まれる」って既にすごい(語彙力)ですが、ホントはこんなもんじゃ済まないのは、アナタもご存知ですね?

長時間労働者面接についての面接指導チェックシートは厚生労働省の面接指導チェックリスト・マニュアル https://www.zsisz.or.jp/insurance/topics/checklist.html からダウンロード できます。で、このチェックリストで一番重要なのは、最初のページにある労働時間実態の把握です。ところが! 肝心のこのページの記入は、事業者(人事・労務担当者)が行うことになってるんですねぇ。この部分に齟齬がないかどうか、きちんと確認の上、必要なら加筆訂正し、ハードコピーをとってファイルしておきましょう。もし、加筆訂正したものを事業者に返却することが当該勤務医の不利益になりそうなら、先にハードコピーして、コピーの方を加筆訂正し、そっちをファイルしておきましょう。書類の偽造捏造を疑われては困るので、面接は可能な限り腕利き保健師(産業看護職)も連れて行ってください。また、可能であれば、本人の手帳にも、本当の勤務状況について記録してもらってください。

特に、病院に滞在時間については、申告漏れがないかどうかしっかり把握し、記録です。当直という名の夜勤なのか、震災や火災に備えて待機している「本来の意味の」宿直なのかについても聞き取ってくださいね。

また、オンコールは勤務時間に含まれるのかどうか、拘束してガンガン電話かけても病院に顔を出さなければ無給とか2000円のお手当とかふざけた体制になってないかもしっかりチェックしましょう。

オンコールという制度はそもそもウンコですが、もっとウンコなのが、オンコールでもなんでもないのに24時間電話カケホーダイ制度です。この制度採用してる病院の産業医してるのなら、差し違える覚悟でやめさせましょう。ってか、勧告してもガンガン電話かける制度やめないんなら、そこの産業医やめちゃった方が安全よ?

ハイパー病院産業医業務から逃げ遅れた場合の対処3:事後措置は融通を効かせず杓子定規に

例えば、もし、面接で「死にたい」と言葉に出すようなら全力で精神科への受診勧奨し、体調悪そうなら「だって患者さんほっといて休めません」と宣おうとも全力で休ませてください。

本当は元気なのに、産業医を試すために「死にたい」と言っているかもしれないって? いいんですよ、見破れなくて。相手が「死にたい」という言葉で騙そうとしてるのなら、しっかり騙されてください。試し行動で「死にたい」と言ってようが、本気で「死にたい」と言ってようが、サポートは必要です。

逆に「元気です」とか戯けたこと言ってるようなら、血圧やら脈拍数やら、体重の変化も見落としなく。ありとあらゆる難癖をつけて、不健康要因を探し出して1秒でも長く眠れるような事後措置を編み出しましょう。きっと本人も職制も迷惑がるでしょうし、言うこときかないでしょうし、だから臨床わかんないやつは!程度の罵詈雑言も浴びるでしょうが、時間外が80時間/月を超えて心血管障害等で亡くなることがあったら、業務起因性は否定できません。あなたが「休みが取れるようにアドバイスした」「記録に残した」事実が必要です。それに、うまくいったら、その勤務医の先生は1日/週くらいお休みとれるかもしれないよ?

病院に医師がいなくなる? 不足分の労働者(医師)の手配するのは病院の仕事であって、アナタの仕事じゃないし、ましてや長時間労働者当事者の仕事でもありません。

そもそも病院長までもが過労死寸前? それはお気の毒だけど、足りない労働力を雇用側が補充せずに今までずるずるきた結果が長時間労働者面接なんです。昨日今日始まったことじゃないでしょう?

まとめ

  1. ハイパー病院で産業医するのは可能な限り避けましょう。できれば逃げましょう。
  2. ハイパー病院で産業医をし、さらに長時間労働者面接をしなくてはならなくなったら
    1. 自己保身第一で
    2. 労働状態については、職制からの情報を鵜呑みにせず、本人から詳しく聞き取りを
    3. 事後措置はガイドラインに沿って杓子定規に融通をきかせず、ありとあらゆる難癖をつけて休ませる方向で
  3. 以下も併せて読むと尚素敵❤️ 直接役には立ちませんが、夜勤等の考え方は分かるかと

【医師の当直と長時間労働を考える】当直じゃなくて夜勤シフト組んだら?

【医師の当直と長時間労働を考える】その主治医制、チーム制にしませんか?

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