どうも、ドロッポ医界の隠居中の微S女王様、Castella (カステラ女王様 @Rainha_Castella )です。シモベ達はそこにお座りなさい、猫パンチしてあげてよ、ぺちぺち。
ワタクシ、時々、お抹茶飲みながら、イザという時、夫や娘をどうやって養おうか、脳内シミュレーションすることもあるわけですよ。あと10年くらい逃げ切ればオッケーの私の最適解は「やっぱ、日本で健診が無難かな」です。今の所、ドロッポ医としては強気で仕事選べる立場wだし。
ご参考:ドロッポ医=医局非所属&フリーランスの医師は「使えない」とバイト先に思われる理由
でも、時々、老健施設なんかの医師招聘案件眺めることもあり、
あれ? 医者の給料って、15年前から、大して変わらん気がする。。。
あれ? 研究日って、無給?
あれ? 給与って当直料込みだったっけ?
あれ? あれれ? なんて、思うことが増え。。。
ってことで、今日は、この「あれれ?」に終止符をうつため、検証しようと思います。あと、対策の提案ね。
いきなりまとめ
検証&提案はそれなりにしようと思うんですけどね、一応、まとめときます。
- 医療費は抑える傾向
- 医師数は、増えつつある
- 医師の給料は、下がる(たぶん)
- 仕事、楽になるといいね
【提案】
- いつでも逃げられるように、収入の柱は複数
- 副業どうでしょう?
勤務医の給料は(も)、2001年からずっと同じ
GDPも、全ての職種の給与も上がってない(勤務医の給与も)
まずは、つべこべ言わず、下図をご覧ください。女王様が夜なべして、2001年からの厚生労働省の賃金構造基本統計調査を一つ一つ手打ちして作った表を図にしたものです。なお、途中で賞与足すの忘れたことに気づきましたが、面倒だったので、そのままにしときました(全職種の方にも賞与足してない)。
図1:全職種年間所得(男女)と医師の年間所得、名目GDP、医療費、一人当たりの医療費
しょぼーん。
悲しい。
2001年から、勤務医の給与は、ぜんっぜん上がってないけど、他の職種も同じ。そもそもGDPも残念な感じ。
医師招聘案件検索して「給料上がってない」って感じてたことは正しかったのね。。。
日本の医師の給与って、国際的にはどうよ?
医師の所得の国際比較って意外と少ないのよ。やっと見つけたのが、 OECD Government at a Glance 2011 とForbes というビジネス雑誌の2013年5月号。下図は、この2つを元に作図したもの。
図2:医師の平均年間所得の国際比較
ま、普通ですね。悪くないけど、良くもない。
医師が急に欲しくなって海外から医師招聘しようとしても、無駄&無理なのがわかる給与額ですね。わざわざ日本語習って、日本語で医師国家試験受ける意味が全くない所得です。
医療費はじわっと上がってる
図1に示したように、医療費はじわっと上がってるんだよね。
ただ、これは、日本だけの傾向じゃなくて、世界各国似た傾向。
図3:国民一人あたりの医療費
高齢者社会の日本で、医療費がこの程度で済んでるのはなかなか優秀。
イタリア&イギリス、ぎゅうぎゅう締め付けてるねw すげー。
日本の医療費は高いけど高くないーカナダの医療の例
私はカナダに住んでるけど、図3によれば、一人当たり4,506ドルもかかっているはずの医療は、3,971ドルの日本と比べるとかなり残念で、イライラすることも多いのですよ。
カナダは国民皆保険制度で診療費は無料
カナダの医療を雑に説明すると、診療費は税金で賄われるので、タダ。
ただし、歯科、それから処方された内服薬や外用薬は100%自費。
診療費無料の代償は待ち時間
例えば、MRIなど、日本なら大して珍しくない機材が、私の住んでいる市には3台しかありません(いずれも大学病院内)。だから、通常は1ヶ月待ち。どうしても急ぎたい場合は、隣州または、合衆国のクリニックにあるプライベートの素敵クリニックに大枚はたいてMRI撮影してもらいます(目玉が飛び出るほど高額)。
アトピー性皮膚炎程度だと、医師に会うだけで、2年くらいは待ちます。だってこの程度じゃ死なないし。
ドライアイは気合いと根性で市販の目薬を自分で買って治します。家庭医はこの程度だと眼科紹介してくれない。
不運な友人の例ですが(普段はもうちょいマシ)、
21時に腹痛
→22時自力で病院到着
→22時半トリアージナースにより緊急性なしと判断
→帰宅
翌朝9時、やっぱりお腹痛い
→10時自力で病院到着
→11時トリアージナースにより、医師に会った方が良いと判断うける
→13時医師に会い虫垂炎と診断される
→17時手術(穿孔はしてなかったらしい)
これって、かなり不運ではありますが、社会問題になるほどではないの。お見舞いに行ったら、医師から「ラッキーだったね、穴空いてなかったよ」って言われたと、本人もニコニコ笑顔だったので、私も「お、おう」としか言えなかった。
インフルエンザに罹っても、掛かりつけクリニックの予約入るのは1週間後とかなので、それがインフルエンザか、ただの風邪か分からないまま、家でじっとして水分摂って治します。ま、ウイルスだから、それでいいんだけどね。予防接種受けてないと重症化するので、必ず受けときます。
さらに、私は甲状腺機能亢進症患者なので、定期的にクリニック受診してるのですが、半年に一度しか予約が取れません。内服薬も半年〜1年分処方してもらいます。途中で具合が悪くなったら、電話して別枠で予約をとるけど、大抵1ヶ月待つことになります。緊急の時は、さすがに救急外来に行くけどね。
何が言いたいかというと、日本の医療費で利用できる医療サービスは、カナダなんぞより格段に上ってこと。たぶんね、これ、イギリスとかイタリアとか、日本より医療費少ない国と比べると、日本の医療サービスの素晴らしさがもっと分かると思うよ。住んだことないからわかんないけど。
勤務医の給与が(も)今後上がることはないでしょう
良いものを同一価格で、さらにwより安く
カナダ と比べると、ずっと上手に使われている(消費側から見て、コスパがいい)医療費ですが、医療費が上がっても、勤務医の給与は上がることはないでしょう。ま、医師の数増えそうだし。
医療は必要不可欠な必需品であり、同一価格で「消費」されてしまうサービス。優秀な医師が診察しても、私のようなドロッポ医が診察しても料金同じ。
診療報酬は下がり続けてる、医師の手技の部分の医療費は、日本は既に(世界一に近い水準で)安いけどね。薬とか設備とか、目に見えるわかりやすい「モノ」にかかるコストは、これ以上削れないもんね。
知ってると思うけど、医師の給料が安くて困るのは医師だけなんです。他の職業も同じ。例えば、介護職の給料が安くて困るのは介護職だけでしょう? 介護職の給料は、働く人に対して失礼だと感じる額の報酬であることも多いけれど、介護を利用する人にとっては「安くて」「質が良くて」「お手軽にアクセス」できるのは良いことだもの。医師の報酬なんて、他の職業から見れば、それでも良い方なんだから、これ以上良くなるはずない、絶対に。
さらに、やっぱり知ってるとは思うけど、医師の数は増えつつあります。
減る医療費、増える医師数。普通に考えれば給料下がりますね。
医師の数は増えつつある
日本の医師数は、今は、世界規模でみると少なめ
以下に、人口1000人あたりの医師数(図4)と、ついでに看護師数(図5)も貼ってみます。
図4:人口1000人あたりの医師数
図:5人口1000人あたりの看護師数
日本の医師数は1000人あたり2,4人、少ないね。っていうか、先進国の中では最悪グループだね。
最近、日本が先進国なのかどうかもちょっと疑問になってきたけど。
こういうニュースもあるしね。
看護師数は1000人あたり11人。数的にはまあまあかな。
医師は増える予定、たぶん
でも、今後、日本の医師数は増えます、たぶん。しばらくは追いつかないだろうけど。
平成31年まで(2019年まで)医学部定員は増やす予定らしい。以下は文部科学省の「平成28年度医学部入学定員増について」より転載。
ってことで、医学部定員は増えて、医療費は増やす予定はないんだから、そのうち、医師の給料は下がるよね。せめて、勤務医の仕事が楽になるといいな、って思ってます。勤務医のためじゃないよ、私のために!
あとちょっと(?)の我慢だ! 優秀な医師はドロッポしないで!
2005年くらいからこっち、正直、病院がブラック企業化しすぎて、迷惑してました、私。
以前も病院なんてほとんどブラック企業だったけど、ブラック化が加速しちゃったんだもん。それ以前ならドロッポしないような医師までドロッポしちゃうんだもん。
2005年くらいまでは、ドロッポ医になるような人は、残念な人が多かったので、ドロッポ医の中では私の一人勝ちだったの。でも、ここ10年くらい、優秀かつ性格までいい人がドロッポしちゃうんで、優良バイトで競合しちゃうの。ほんんんっとに迷惑。
でも、あとちょっと(?)、あとちょっと(?) で医師増えます(給料は下がるでしょうけど)。
優秀な先生は、踏ん張って、これまで通り、たくさんの人の命を救ってください。
あとちょっと(?)、あとちょっと(?) の辛抱よ! こっち来ないで!
せめて、ドロッポ医としてバイトを転々とするスタイルではなくて、「働く病院をかえる」くらいにして欲しいな♥
明日も医療現場で働くために
医療は、それがなくなってしまうと、国そのもの成り立たない、とてもファンダメンタルな制度。現場で働いている医師や看護師たちは、それがわかっているから、体を壊そうが、家族と過ごす時間がとれなかろうが、踏みとどまって頑張って来たわけです。
医師や看護師を職業として選ぶ人たちは、本質的にこの仕事が好きなのでしょう。医師が医師を続けるのは、看護師が看護師を続けるのは、給料が高いからとかそういうことではなくて(ちょっとはあるだろうけど)、やはり、医療現場が好きだからなのだと思うのです。
だけど、好きな仕事してるんだから、好きな場所で働いているんだから、給料高いんだから、体を壊しても家族と過ごす時間が取れなくても働け! っていうのは、違うと思う。
納得の行く働き方をするために、いざという時、別の場所を探せる金銭的体力的ゆとりを持てたら、ドロッポする医者はもっと少なくなるのではないかと、私は思うのです。っていうか、頼むから、優秀な医師はドロッポしないで、私の美味しいバイトが減る。
給料上がらない時代へ向けてのご提案
【ご提案1】医者続けたまま、いつでも辞められる状態にしとく
たぶん、勤務医の給料は下がるけど、きっと労働条件はマシになると思います(希望)。
でも、労働条件はマシになっても、精神的にブラックな病院はやっぱりあると思うんですよ。そういうわけで、理不尽な我慢をせずに済むよう、いつでも辞めて転職しておける状態にしておくことをオススメしたいと思います。 ダメ、ドロッポ医、これ以上増えないで!
いつでも辞められる対策の一つは、具体的には、複数の収入源を持つことです。
【ご提案2】時間労働でない副業をもつ
医師って、稼ごうとすると、当直バイトとか健診バイトとか、時給労働に時給労働を重ねるような働き方をしてしまうことが多いんですが、それね、無理。体力消耗します。長時間労働すると死にますよ? 過労死と言えば日本人の論文ばっかりだけど、.Long Workhours and Health (レビュー論文、ちょっと古いけど)で、van der Hulst M センセもマトメてます。
ってことで、医師の副業は時間労働でない副業をオススメ。
【ご提案3】私がやってたこと、やってること、今後やってみたいこと
私は90%医者辞めちゃったわけですが、割と真面目に医者やってた頃から、ちょこっと副業してました。以下、やってた〜やってる、今後やってみたい副業リスト。何かのヒントになれば。。。と、思って書いたけど、あんまり役に立たないね、ごめん。こういう妄想は大好きで、よくやってます。
やってた〜やってる副業
- 不動産(今の所、稼ぎ頭。だけど、今後はあまり勧めない)
- 教科書等の執筆(それぞれ、20ページくらいしか書いてないけど、定収入になる)
- クラウドソーシングでライター(案件を選ぶとけっこうな額になるけど、結局は時給労働と大差ないのでやめた)
- ハウステンボスのブログ(月に2,000円〜3,000円くらい。毎月増えてる。)
- このブログ(先々月31円、先月8円、今月1円w)
- (私じゃなくて夫&弟だけど)株
今後やってみたい副業(野望)
- プログラミングを習得し、アプリ作成とか(単に面白そうだから)
- AR技術習得して、手術の練習アプリ作成とか(単に面白そうだから。マクロ解剖&外科の知識ゼロなのが残念すぎるけどw)
- FX、ビットコインFX(単に面白そうだから、しかし、人生詰むかも)
- 70歳くらいでどっか文系の大学院に入って、博士号とるまでの過程をブログに書く
- 稼げる移民量産プロジェクト(私はこの人の「おばあちゃんたちの潜在ポテンシャルを引き出し、 稼げるおばあちゃんを量産する!」考えがとても好きで、彼のやってることの「移民バージョン」ができないかなーと思っている)
まとめ
医師の給与が増えない時代に、これからは収入の柱を複数もっておくのがオススメです。
いや、マジで。
時間を切り売りしないタイプの副業は、医師にもオススメ。
でもね、実は、会社員や専業主婦、学生さんにもオススメですよ。
なお、医師で、「時間切り売りしないタイプの副業をする時間すら取れないほど忙しい職場」で働いていらっしゃる先生方におかれましては、ドロッポではなくて、転職をオススメします。
たーのーむーかーらー、私の美味しいバイトは残しておいてほしいの♥